オープンデータ活用ガイドブック

オープンデータ活用を広げる:CSV以外のデータ形式(JSON, Shapefile等)の基礎と扱い方

Tags: オープンデータ, データ形式, データ前処理, JSON, Shapefile, QGIS, データ活用, 地域課題

オープンデータ活用におけるデータ形式の重要性

自治体職員の皆様が日々取り扱われている行政データの中には、ExcelやAccessで扱いやすいCSV形式のデータが多いかもしれません。しかし、オープンデータとして公開されているデータの中には、CSV以外の様々な形式で提供されているものが数多く存在します。これらの多様なデータ形式に対応できるようになることは、オープンデータの活用範囲を広げ、より複雑な地域課題の分析や、複数のデータセットを組み合わせた高度な分析を行う上で非常に重要となります。

本記事では、CSV以外の主要なオープンデータ形式にはどのようなものがあるのか、それぞれの特徴は何か、そしてこれらの形式のデータをどのように扱えば良いのかについて、地域課題解決への応用を視野に入れながら解説いたします。ExcelやAccessの基本操作は理解しているものの、それ以外の形式に触れる機会が少なかった、あるいはどのように扱えば良いか分からなかったという読者の皆様の参考になれば幸いです。

CSV以外の主要なオープンデータ形式とその特徴

オープンデータとしてよく見られるCSV以外のデータ形式には、主に以下のようなものがあります。

1. JSON (JavaScript Object Notation)

JSONは、人間が読み書きしやすく、機械にとっても扱いやすい軽量なデータ交換フォーマットです。Web APIなどを通じてデータが提供される場合によく利用されます。

2. Shapefile

Shapefileは、地理空間情報(位置や形状)とその属性情報を格納するための、最も一般的なGIS(地理情報システム)データ形式の一つです。

3. XML (Extensible Markup Language)

XMLは、構造化された文書を記述するためのマークアップ言語です。データの意味や構造をタグを使って定義できます。

多様なデータ形式を扱うための基礎知識と実践

これらのCSV以外のデータ形式を扱うためには、いくつかの基本的な考え方と、特定のツールが必要になります。

1. データ形式の理解を深める

まず、取得したオープンデータがどの形式であるかを確認することが重要です。ファイル拡張子(.json, .shp, .xmlなど)や、データ提供サイトの説明を参照してください。そして、それぞれの形式がどのような構造を持っているのか、基本的な概念を理解することが、次のステップに進む上で役立ちます。例えば、JSONは「入れ子構造」、Shapefileは「地図上の形とそれに関するデータがセット」になっている、といったイメージを持つことが大切です。

2. データの「中身」を確認する

データ形式によっては、Excelで直接開いても内容が適切に表示されないことがあります。このような場合は、テキストエディタ(Windowsのメモ帳など)や、Webブラウザの機能、専用のビューアツールなどを使って、データの元の構造を確認してみましょう。JSONであれば、整形表示できるオンラインツールを使うと、階層構造が分かりやすくなります。Shapefileであれば、後述のGISツールで開くのが最も確実です。

3. 専用ツールやライブラリの活用

多様なデータ形式を効果的に扱うためには、ExcelやAccessだけでは限界があります。読者ペルソナのスキルレベルを考慮すると、まずは比較的操作が容易な無償ツールや、データ分析ライブラリの基本的な使い方を知ることが有効です。

4. データ変換を検討する

扱いたいツールやシステムが特定のデータ形式にしか対応していない場合は、データ形式を変換する必要が出てきます。

地域課題解決への応用事例

異なるデータ形式のオープンデータを組み合わせることで、地域課題の分析がより多角的になります。

これらの事例のように、地理空間情報(Shapefile)と属性情報(CSV, JSONなど)を組み合わせた分析は、地域の実態をより正確に捉え、「どこで」「どのような」対策が必要なのかを具体的に検討する上で非常に有効です。

まとめ

オープンデータは、CSV形式だけでなく、JSONやShapefileなど多様な形式で提供されています。これらの形式に対応できるようになることは、オープンデータ活用の可能性を大きく広げ、地域課題解決に向けた分析をより深く、実践的なものにするための重要なステップです。

最初は馴染みのない形式に戸惑うかもしれませんが、それぞれの形式の基本的な特徴を理解し、QGISのような使いやすい無償ツールや、Pythonとデータ分析ライブラリといった強力な武器の使い方を少しずつ学ぶことで、必ず対応できるようになります。オンラインで利用できる便利なツールや、初心者向けの解説情報も増えていますので、ぜひ積極的に新しいデータ形式の扱いに挑戦してみてください。

多様な形式のデータを組み合わせることで、これまで見えなかった地域の課題が見えてくる可能性があります。一歩進んだオープンデータ活用を目指し、地域の実情に即したデータ分析に取り組んでいきましょう。